「こーのーえーくーん、ねえねえどこから来たの?」

「前の学校ってどこ?」

「何か部活やってた?」

休み時間のたびに椿の席には人の群れができていた。

毎回10分後のチャイムでそれらは散会するが、今回はそういうわけにもいかないだろう。

なんせ…

「昼休みだもんね…。」

購買組みの鈴音は、椿に声をかけるべきか迷ったがあれだけの人数いれば、弁当持参組みでも購買組みでも困りはしないだろうと思い席を立った。

それを見た椿が焦るように口を開いた。

「く、九条さん。ちょっと待って。あの俺、先生に九条さんと一緒に呼ばれてるんで。」

周りにいる人たちにそんな言い訳をして椿は鈴音の後について教室をでた。

廊下に出てもなお、椿は注目され続けた。

「九条さん、ごめん…。あのさ、購買の場所とか教えて欲しいんだけど…」

先生に呼ばれている、あれは嘘だ。

椿は巻き込んだことを謝っているのだろう。

「…近衛君、購買の前に少しいいですか?」

「うん?」

鈴音は購買に向かわずにこの時間は全く人がいない屋上へ向かった。

「どうしたの?」

鈴音は屋上のドアを閉め周りに人がいないことを確認する。

「…お願いがあるんですけどいいですか?」

「なに?」

「私に必要最低限以上に関わらないで欲しいんです。確かに先生に案内を頼まれましたが、周りにいた人にでも聞けましたよね。私に聞く必要ってありますか?」

「…?」

「要するに、貴方といると目立ったり女子からいやな目で見られたりするので、私は貴方と一緒にいたくないんです。購買は屋上まで上がってきた階段を1階まで降りて右に曲がるとすぐにあります。それじゃあ。」

そう告げて鈴音は屋上を去った。

「…おもしろい。」

鈴音の去った扉をみつめ椿は意地悪そうに笑った。

これでいいんだよね、これでいいんだよね。

だって近衛君は“普通”じゃないもん。

目立ちたくない…。

そう自分に言い聞かせ鈴音は階段を下りて購買へ向かった。

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鬼灯学園付近にある寂れた商店街、鬼灯商店街。

その路地裏で日本刀を持った少年が男を追いかけていた。

「違う!俺はただあの場に居合わせただけで!殺してない!お前の両親なんか殺してない!!」

「黙れ。」

少年は男の言葉を一切聞かず、刀を振りまくる。

「な、話をしよう。金ならいくらでも出す。」

「死ね…」

少年の目が一瞬黒く光った。

「ギャーーーーー!!!!!!!」

あたり一面に黒色の水晶が砕け散った。

男性の姿かたちはどこにもない。

『楓(かえで)、少々やりすぎではないか?』

「黙れ。」

『ふん、後でわしをちゃんと研いでおくのじゃぞ?いくら神器といえど、人を切ると刃こぼれするのはさけられん。』

「黙れと言ったはずだ二度は言わないぞ。」

『…。』

少年が踵を返すと、退路には男の声で集まった人間のじゃじゃ馬であふれかえっていた。

「あーあ、運の悪いやつら。」

そう呟くと冷たい目を観衆に向け、もう一度刀を抜いた。

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「じゃあまた明日な。おっ、鈴音また明日。」

「うん、また明日。日和さんによろしくね日向君。」

「おう、まかせとけ。」

朝と同じように軽い挨拶をクラスメイトにして教室を去る。

今日は目立ちすぎた…

…。

商店街の八百屋さんで苺買って帰ろう…。

鈴音はいつもなら駅に向かうために左に行く道を、商店街に向かうために右へ曲がった。


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